【2026最新】広島で「関西風」を自分で焼く異彩の老舗——「徳川」が外国人観光客と地元民を熱狂させる意外すぎる理由
広島 お好み焼き 徳川の扉を開けると、出汁と焦がしソースの香ばしい煙が鼻腔をくすぐる。ジュージューという心地よい鉄板の重奏音。広島市中区の老舗店には、今夜も地元の常連客と海外からのトラベラーが肩を並べ、目の前の鉄板に集中していた。広島といえば職人が目の前で生地とキャベツ、豚肉、焼きそばを重ね上げる「重ね焼き」が絶対的ルールとされがちな街だ。しかし、この店が創業から半世紀以上にわたり貫いてきたのは、まさかの「自分で混ぜて焼く関西スタイル」。一見すると街の流儀への挑戦にも思えるこのスタイルが、なぜ2026年の今、空前の再評価を呼んでいるのか。
「自分で焼くから楽しいし、何度来ても新しい発見がある」。サンフランシスコから訪れたサム・ミラーさん(34)は、手元のボウルをリズミカルにかき混ぜながら笑う。徳川家康、秀忠、家光——徳川将軍家の名が冠されたユニークなメニュー表を前に、初見の旅行客も思わず身を乗り出す。地元密着型レストランとして長年愛されてきた広島 お好み焼き 徳川は、いまや単なる飲食店を超え、体験型フードテーマパークとして国内外の美食家を魅了してやまない。
「重ね焼き」の聖地に咲いた異彩!創業1964年、徳川が仕掛けた食文化の逆転劇

広島の街でお好み焼きといえば、鉄板の上に薄い生地を広げ、山盛りのキャベツと天かす、豚肉を重ね、仕上げに焼きそばと卵を合体させる緻密な職人技の世界だ。地元民にとって、お好み焼きは「プロに焼いてもらうもの」というのが常識である。
その常識に風穴を開けたのが、1964年創業の「徳川」だった。ボウルに入った具材と生地を自分でかき混ぜ、熱々の鉄板へ一気に流し込む。焼き上がりのタイミングも、ソースの塗り加減もすべて自分次第。このセルフスタイルは、当時の広島市民に強烈なカルチャーショックを与えた。職人の技を観賞する文化の中で、「自分で作る歓び」を提案した選択こそが、今日の独創的なポジションを築く原点となったのだ。
「家康」に「吉宗」?歴代将軍の名を冠したメニューに秘められた遊び心

徳川のメニューを開いてまず目を引くのが、歴史好きならずとも思わずニヤリとしてしまうメニュー名だ。「家康」「秀忠」「家光」「綱吉」「吉宗」……なんと歴代の徳川将軍たちの名前が、そのままお好み焼きのトッピング構成になっている。
一番人気の「家康」は、豚肉とエビ、イカが贅沢に入った王道のミックス焼き。一方、個性派のトッピングが光るメニューには「綱吉」や「吉宗」の名が躍る。単に美味しいものを食べるだけでなく、「今日はどの将軍にする?」という会話がテーブル越しに飛び交う。この洗練された遊び心こそが、ファミリー層から若者、そして歴史ファンまでを虜にし続ける秘密だ。
インバウンド客が熱狂する「エンタメ型DIYグルメ」の真価

2026年、広島を訪れる外国人旅行者の目的は平和記念公園や宮島だけにとどまらない。日本固有の「参加型食体験(DIY Dining)」を求めて、徳川を指名買いする旅行者が急増している。
目の前の鉄板でジュージューと音を立てる生地を、両手のコテを使ってタイミングよくひっくり返す。成功すれば歓声が上がり、少し形が崩れてもそれ自体が最高の旅の思い出になる。スマホで動画を撮影しながら自作のお好み焼きを育てる体験は、SNS時代における最高のコンテンツだ。食べるだけのディナーから、自分自身がシェフになるエンターテインメントへ。徳川の伝統は、期せずして現代の体験消費の最前線と完璧にリンクしている。
秘伝ソースとふっくら生地——老舗が守り抜く妥協なき素材へのこだわり
セルフ焼きというエンタメ性ばかりが注目されがちだが、徳川の本質は圧倒的な「味のクオリティ」にある。誰が焼いてもふっくらと美味しく仕上がるよう、生地の調合や出汁の割合はミリ単位で計算し尽くされている。
さらに、お好み焼きの味を左右するオリジナルソースは絶品だ。濃厚なコクの中にフルーティーな甘みと適度な酸味が同居し、鉄板の上で焦げた瞬間に香ばしいアロマを爆発させる。厳選された新鮮なキャベツの甘みと、特製ソースが絡み合う一口は、まさに至福。自分で焼いたという満足感も相まって、口いっぱいに広がる味わいは格別だ。
「お好み焼きといえば徳川」——地元民のDNAに刻まれたCMソングと記憶
広島県民に向かって「お好み焼きといえば?」と問いかければ、かなりの確率で「徳川!」というフレーズとあの親しみやすいCMソングのメロディが返ってくる。それほどまでに、この店は地域の暮らしと記憶に深く根を張っている。
子供の頃、週末に家族に連れられて行った日。部活帰りに友達とコテを握りしめた放課後。世代を超えて受け継がれる体験が、徳川という場所に特別な情緒を与えている。時代の波がどれほど移り変わろうとも、地元の人々が集い、笑顔で鉄板を囲む風景は変わらない。徳川は単なる飲食店ではなく、地域コミュニティの温かな温床なのだ。
変化する食のトレンドを超えて——広島の夜を照らし続ける鉄板の灯火
食のトレンドが目まぐるしいスピードで移り変わる現代において、半世紀以上にわたって愛され続ける理由は明確だ。伝統を守りながらも、訪れる一人ひとりに自由な食の歓びを提供し続けているからにほかならない。
広島風の伝統文化をリスペクトしつつ、独自のセルフスタイルで多様な食の魅力を発信し続ける徳川。今夜も各テーブルの鉄板からは、香ばしい煙とともに賑やかな歓声が立ち上っている。広島の夜を温かく照らすその灯火は、これからも多くの人々の心とお腹を満たし続けていくはずだ。 (出典: 広島 お好み焼き 徳川(Yahoo!ニュース))